自動化コラム

手頃な価格で自動化を実現、協働ロボット導入が広がる背景とそのメリット

世界的に労働力人口の減少が予測される中、産業用ロボットの販売や導入は今後も増加が見込まれています。特に製造業の現場では、ロボット導入による自動化・省力化により人手不足を解消し、人員をより適切な部門へ再配置する動きが見られます。本記事では、協働ロボットの利用が広がる背景や導入のメリットについて解説します。

協働ロボットの導入が一層広がる背景

日本は産業用ロボット大国と言われ、稼働台数は世界2位(※1)、主要メーカーの売上高でも、日本企業が世界ランキングの上位に複数社名を連ねています。国際ロボット連盟(IFR)の調査レポート「World Robotics 2024」によれば、産業用ロボット業界についての長期的な成長傾向は2027年まで続くと予想されています。(※2)。

国内でも人手不足を解消する目的で、さまざまな現場において協働ロボットの導入が進んでいます。かつて産業用ロボットといえば、1台あたり数千万円を超える高額で、大型かつ多機能なものが主流であり、導入には生産ラインの新設や工場の増改築といった大規模な設備投資が必要でした。近年は、産業用ロボットの中でも、安全柵や専用の稼働スペースを設けることなく、人と同じエリアで動作可能な協働ロボットが注目を集めています。協働ロボットは小型で設置スペースが少なく済むため、大型ロボットの設置が難しかった工場や施設でも導入が検討されており、自動車やエレクトロニクス業界のみならず、医療などの非製造業においても自動化の重要性が高まっています。今後はロボットを活用した業務の自動化がさまざまな場面で拡大していくと予想されます(※3)。

協働ロボット導入がもたらす効果とは?生産性向上だけにとどまらない4つのポイント

生産現場で協働ロボットを導入する際、どのようなメリットがあるのか、具体的に見ていきましょう。

労働力の確保(人材不足への対応)とヒト依存からの脱却(働き方改革)

特定の社員に依存していた業務が協働ロボットに代替されることで、人材不足による機会損失を軽減できます。単純作業に係る人員を減らすことができれば、省力化やヒトにしかできない業務への人員配置も可能となります。

品質維持

長時間にわたり集中力を維持することは、熟練の社員にとっても負担となります。疲労や体調の変動が作業品質の低下や事故につながることもありますが、協働ロボットを導入すれば、単純作業を長時間かつ正確に繰り返すことができ、品質の維持や事故の防止が期待されます。

生産性の向上

協働ロボットは稼働時間を延ばしたり、複数台を同時に稼働させたりすることが可能です。これにより、計画通りの進捗が見込め、生産性が大幅に向上する可能性があります。

生産環境の向上

協働ロボット導入に際しては、どの業務をロボットで代替するかを見極め、業務の見直しを行う必要があります。改善したい業務を分解し、切り分け、再配分する過程で、ヒトにしかできない業務に集中できる環境が整い、結果として労働環境の改善や労働者の満足度向上にもつながります。

協働ロボットが選ばれている理由と、3つのメリット

協働ロボットは小型化、軽量化も進んでおり、その中で卓上に設置できるサイズの垂直多関節ロボット(通称:ロボットアーム)も多くの製品が登場しています。ヒトの関節に近い働きをするのが「軸」で、軸の数が多いと動作の自由度も高くなります。ロボットアームという名前の通り、ヒトの腕のような動きが可能で、上下左右、角度の調整といった複雑な動きも制御できるため、活用シーンはますます拡大しています。
なぜ今コンパクトタイプのロボットアームが求められているのか、ポイントは三つあります。

設置の容易さ

ヒトの背丈を超えるような大型のロボットアームを稼働させる場合、安全の担保が必須で、例えば安全柵を設置したり専用レーンを設けたりといった設備そのものへの対策が必要です。一方、ヒトが持ち運べるようなサイズ、重量のロボットは、必要なスペースを確保しやすく、設置できる(利用できる)場所が広がります。

費用対効果

協働ロボットは設置スペースを確保するための大がかりな工事を行わずとも設置できるため、従来の産業用ロボットに比べて導入コストが抑えられるメリットがあります。
協働ロボット本体の価格帯としては100万円~500万円前後、機能を限定したものでは30万円台の製品もあります。

教育(短期間で利用できるようになる)

大型のロボットアームの操作や動作には危険が伴うことから、産業用ロボットを使用して作業する人員には、法令に基づく安全・衛生のための特別教育を実施することが必須とされています。そのため、ロボットメーカー各社では、自社製品を使用する方を対象とした特別教育も提供されており、作業に関わる方は産業用ロボットに関する知識や法令を学び、その操作、検査、保守の講習、実習などを受講する必要があります。特別教育ではロボット本体を用いた実技が必要なため、実施会場が限定され近隣地域で受講できるとは限りません。
一方、協働ロボットは設置が容易で法令による特別教育はなものが大半です。また、協働ロボットの多くは特別教育を必要とせず、市販の教材を用いた社内教育でも対応が可能です。これにより、内製化やスムーズな導入が期待できます。

 

まとめ

今回の記事では、協働ロボットの導入が広がる背景ともたらす効果、導入のメリットについて紹介しました。現場の状況と事業の継続と生産力の維持発展のために協働ロボットの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

 

参考リンク

ダウンロード資料

  • <自動化を検討する中堅製造業に最適> 協働ロボット導入前に実施すべき、2つのポイント 徹底解説資料

これからロボットを導入する上で、事前に検討・実施することをお勧めしたいポイントを2点に絞り、ロボット導入時に予測される障壁と解消など、具体例を交えながら、わかりやすくご紹介します。

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