少子高齢化による人手不足に対応するため、ロボットを導入して生産性向上や自動化を推進しようという動きが高まっています。企業向けに提供されている補助金・助成金施策は、設備投資や新事業の実施、雇用や人材教育など、目的に応じたさまざまなものがあり、さまざまな時期に公募されています。本記事では、ロボット導入による生産性向上を目指す中小企業に役立つ補助金をご紹介します。
まずは知っておきたい、補助金と助成金の違い
補助金と助成金は同じものと捉えられがちですが、目的や管轄する省庁、さらに申請を依頼できる専門家も異なります。主に経済産業省が中心となって行っている補助金事業は、事業拡大を支援し、販路開拓や新規事業への投資などを促進することを目的としています。一方、厚生労働省が中心となって行っている助成金事業は、既存の組織や事業の基盤強化を支援し、雇用促進や従業員の能力向上を目的としています。このように、補助金・助成金事業にはさまざまな目的があるため、自社の目的に合った支援事業を見つけることが可能です。
補助金ってロボット導入に使えるの?
中小企業向けの代表的な補助金には、以下のようなものがあります。
*省力化投資補助金
中小企業省力化投資補助金は、中小企業や小規模事業者が生産性向上や省力化を図るための設備投資を支援する制度です。特に、人手不足や作業効率改善に役立つ機械・設備の導入を促進し、事業の持続可能性を高めることを目的としています。補助対象となる投資には、省力化につながる汎用的なロボット、IoT製品が含まれ、これにより労働力不足への対応や業務効率化を図る企業にとって、資金面の負担軽減が期待されます。
*ものづくり補助金
中小企業等が生産性向上を目指して行う、革新的なサービス開発、試作品開発、生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援する補助金です。生産ライン増強のために生産現場への新たな機械やロボットの導入、新製品や新サービス提供のための機材購入などが補助対象です。
*事業再構築補助金
ポストコロナに対応した新事業展開、または成長・グリーン分野へ進出するための各種費用を支援する補助金制度です。新事業を行う際に幅広い費用が補助対象となります。また新事業にロボットを導入する際も対象となります。
*小規模事業者持続化補助金
小規模事業者が取り組む販路開拓や生産性向上の取組みを支援する補助金です。販路開拓に向けたネット販売システムの構築や展示会への出展、業務効率化に向けた管理システムの購入や作業導線を確保するための店舗改装などが補助対象です。
*IT導入補助金
中小企業等が行うバックオフィス業務の効率化をはじめとした、付加価値向上に繋がるITやITツールの導入を支援します。販売管理システムの導入による経営の見える化や、紙による管理からITツールによる管理への変更による業務の自動化のために活用できます。
この中でも、業務効率化のためのロボット導入を目的とする「省力化投資補助金」について、次章で詳しく説明します。
ロボット導入におすすめしたい「省力化投資補助金」
「中小企業省力化投資補助事業(カタログ型省力化補助金)」は、生産現場へのロボット導入に特化した新しい補助金制度で、令和6年度から始まりました。中小企業等の売上拡大や生産性向上を後押しするため、IoT・ロボット等の人手不足解消に効果がある、汎用製品を導入するための事業費等の経費の一部を補助する制度です。
省力化投資補助金事務局に事前登録された汎用製品を「カタログ」に掲載し、中小企業がその中から選んで導入できるようにすることで、簡易で即効性のある省力化投資を促進します。製品を販売する事業者も登録が必要で、カタログに掲載された製品は登録された販売事業者から購入することが補助金交付の条件です。申請は販売事業者と中小企業等が共同で行い、審査に合格すると交付決定がなされます。販売事業者が手続きや申請、導入から運用までをサポートしてくれるため、導入しやすい仕組みとなっています。
補助金に関する便利な検索サイト
中小企業や小規模事業者向けの補助金や助成金には、上記以外にもさまざまな種類があります。ここでは、補助金を探す際に役立つウェブサイトをご紹介します。
- ミラサポplus
政府公式サイトで、中小企業や小規模事業者向けの補助金や事業支援策が掲載されています。制度や支援機関の検索機能もあります。
- J-Net21 支援情報ヘッドライン
中小企業経営者の課題解決をサポートする最新の支援情報や事例が掲載されています。補助金やセミナー、イベントなど企業経営に役立つ支援情報を検索するページもあります。
まとめ
今回の記事では、中小企業向けの生産性向上を目的としたロボット導入に活用できる補助金と、補助金検索サイトの事例を紹介しました。補助金は、国の政策によって、幅広い分野で公募されていますので、申請するうえで自社の課題や補助金の目的を確認し、自社の事業内容に適した補助金を探してみることをおすすめします。また、助成金の申請は社会保険労務士のみが行える業務となっているので専門家に依頼する場合はご注意ください。
補助金に関するお役立ち資料
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