世界的に労働力人口が減少すると予想される中、産業用のロボットの販売や導入は今後も増加する見通しです。特に製造業においては、ロボットの導入が進むことでさまざまな分野で自動化や省力化が進み、人手不足の問題が解消され、従業員をより効率的な部門へと再配置する動きが見られます。
本記事では、当社が実施している「ロボットアーム導入相談会」で寄せられたご相談や、実際に導入に至った事例の中から見えてきた、協働ロボットアームの代表的な活用シーンをご紹介します。
代表的な導入パターン
これまでに当社が手掛けた導入事例では、主に以下の3つの導入パターンがありました。
- 生産性向上:生産ラインの改善、人手不足解消
部品の認識・選別・ピッキング、移動、検査 - 人材育成・社員教育:自ら現場改善を企画できる人材を育てたい、ロボットアームの制御を学ばせたい
- 研究・試験:独自のツールヘッドの稼働試験、実験における単純作業の代替
生産性向上:生産ラインの改善、人手不足解消
産業用ロボットは、自動車やエレクトロニクスなどの業種で導入が進んでおり、協働ロボットアームも生産現場での活用が最も多いご相談内容です。例えば、数センチや数十グラムの部品をA点からB点へ移動させたり、カメラを併用してロボットビジョンシステムを構築し、画像から特定の部品を識別し、ピッキングする作業が挙げられます。部品という表現は「ワーク」と呼ばれることもあります。
このパターンでは、ご相談いただいた後に一定期間の検証を行うことが一般的です。複数台のロボットを組み合わせた運用や、実運用に近い場面を再現した際には、現場に伺い、お客様とともに動作確認を進めることもあります。
人材育成・社員教育
次に、人材育成を目的とした導入もあります。ロボットアームを操作する社員に、機器に関する知識を習得させたい、またはロボットやロボットアームを活用して自動化や効率化のアイデアを考えられる人材を育てたいという要望が多く寄せられています。従来の大型ロボットは、専用の作業エリアや安全柵を必要とし、トレーニングを受けられる人数が1~2名に限られていました。しかし、小型の協働ロボットアームを導入することで、制御の学習人数を増やし、特別な設備を必要とせずにビジュアルプログラミングを通してロボット制御を学べる点が注目されています
研究:独自のツールヘッドの稼働装置
三つ目の導入パターンは、研究目的での活用です。ロボットアームは、先端のツールヘッドを付け替えることでさまざまな用途に対応できます。このツールヘッドを独自に開発し、ロボットアーム本体を稼働装置として利用するケースがあります。例えば、ある動作を一定速度で長時間繰り返す作業では、ヒトが行うと速度や傾きにばらつきが出ますが、ロボットアームならそのばらつきを大幅に軽減できます。さらに、ヒトの腕では再現が難しい角度やひねりを維持する実験も可能です。
まとめ
ロボットアームを導入することによって業務の自動化・省力化を推進できる可能性がありますが、課題は人それぞれであり、ケースによって課題解決のアプローチは異なります。
生産ラインでの使用に限らず、作業効率の向上や組織の自動化への意識を醸成するための教育等、様々な活用方法がありますので、自社の業務にどのように活用できるかプロに相談することも一つの方法です。
製造業向け個別相談窓口
- 産業用の協働ロボットアームのできることについて|製造業向け個別相談窓口のご案内
業務の効率化や生産ラインの省力化を求められている製造業の方向けに、「産業用の協働ロボットアームのできることについて」のご相談窓口をご案内します。ぜひご活用ください。
- スムーズなロボット導入や効果的な運用に向けた人材育成について|製造業向け個別相談窓口のご案内
生産現場の職員が最低限ロボットを操作できるように教育したい、現場職員から自動化アイディアが出るようにリテラシーを醸成したいといった方に向けたご相談窓口です。