自動化コラム

協働ロボットの導入ステップと、検討から運用までの流れを解説

「手頃な価格で自動化を実現、協働ロボット導入が広がる背景とそのメリット」では、協働ロボットの導入が広がる背景や導入のメリットを紹介しました。今回は、実際に協働ロボットを導入するまでの流れを例として示します。自社の業務や課題を整理し、専門家の支援を積極的に活用しながら、導入を進めていきましょう。

  1. やりたいことを明確にする(課題を明らかにする)

    何のためにロボットアームを使いたいのかをよく考え、どのような場面(シーン)で、どのような作業をさせるのか、イメージを描きます。このとき、他社で類似の業務にロボットアームを導入している事例を調べるのも良いでしょう。

  2. 業務の洗い出し、分解、切り分け、設計

    ロボットアームにさせたい業務を詳細化します。例えば「A点からB点へワークCを移動させる」業務について考える場合、ワークCのサイズ(縦・横・高さ)、重量、形状、向き、素材、表面は滑らかか凹凸があるか等、数値やテキストで明記しておくべき内容が多数あります。担当社員がノウハウとしてこなしている内容も可能な限り文章化することで、ロボットに必要な機能もリストアップされます。
    切り分けた業務を元に、ロボットアームが行う作業を設計します。ここで意識したいのが、前後の工程につなげた形でロボットとヒトの業務を設計することです。また、周辺で必要となる設備(制御プログラムに必要となるパソコンやカメラ、既存のコンベヤーに高さを合わせるための台や照明といった物品を含む)も併せて考えましょう。

  3. 費用と効果を算出し、スケジュールを組む

    現在その業務にかかっている費用、ロボットアームを導入することで期待できる効果を挙げ、調査~検討(比較)~導入~運用~改善までスケジュールを組んでみます。

  4. 情報収集:専門家に相談する

    地域の産業支援センターや産業振興公社、経済産業局では、ロボット導入に関する相談窓口が設けられていたり、セミナーが開催されていたりします。これらを情報収集の機会として活用しましょう。 (メーカーのショールーム等を活用できる場合、この段階で実物を見たり触ったりすることも可能です。)

  5. 候補製品を探して比較する

    機能、価格など、いくつかのポイントで製品を検索し、候補を絞り込みます。比較する際は三つ程度が適当です。メーカーやSIerが公開している資料や各種媒体の情報を活用し、比較検討しましょう。

  6. 実物に触れる機会を作る(展示会に行く、メーカーの体験会に参加するなど)

    カタログや資料から得た情報について、実物を見て確認する機会を作りましょう。頭の中に描いていたイメージと比べて、大きさや操作感に違いがあるかもしれません。多数の製品を一度に見られる場として展示会を利用する場合、事前に知りたい・調べたい内容を列挙しておくと効率よく確認できます。

  7. 導入検討:メーカーや代理店に相談する

    候補製品について、メーカーや代理店に具体的な導入相談を行います。デモンストレーションはもちろん、公開されていない成功事例や失敗例、数値データなども得られるでしょう。

  8. 実物による試行

    可能であれば実物を入手して、ロボットアームに業務を試行させ効果を計ることをお薦めします。メーカーによっては、レンタル(無償、有償)が可能な製品もあります。

  9. 教育と導入

    運用に必要な範囲の操作や簡単なメンテナンスができるように、導入するロボットアームの知識や技術を習得します。セミナーやトレーニングを受講することもできますし、市販テキストや製品付属の解説等で自ら学ぶこともできます。

  10. 運用と改善

    ロボットアームの運用をスタートさせたら、最初の二週間は日次、それ以降は週次で気づいたことを記録し、社員間で共有する場を作りましょう。導入効果を最大限に高めるために、設置場所を調整したり、作業の順序の見直しなど、改善を繰り返すことが大切です。

まずは相談してみよう

「ロボットアーム導入までの流れ」には、相談のタイミングが2回登場します(4. 情報収集:専門家に相談する、7. 導入検討:メーカーや代理店に相談する)が、あくまで「例」として紹介している流れですから、もっと早い段階に「相談」があっても問題ありません。今あなたがロボットによる自動化・省力化をぼんやりとでも考えているなら、他者へ言葉で説明することによって、課題の掘り下げやニーズの洗い出しができるかもしれません。相談は無料という場合が多いので、相談できる相手とつながる機会として各地の産業支援センターやロボットメーカーの窓口へ問い合わせてみてはいかがでしょうか。

ロボット導入や活用に関する相談窓口

(メーカー各社のショールーム等も検索してみてください。)

特に、中小企業で製造現場に産業用ロボットの導入を考えている方には、中部経済産業局が公開している「産業用ロボット導入ガイドライン」をご覧になることをお薦めします。ロボット導入の担当者としてアサインされた方は、検討にあたって社内で誰がどの役割を担うと良いか、こちらの資料を元に経営者や上長と話し合う機会を持たれると、スムーズに進めやすいのではないでしょうか。

製造業向け個別相談窓口

  • 産業用の協働ロボットアームのできることについて|製造業向け個別相談窓口のご案内

業務の効率化や生産ラインの省力化を求められている製造業の方向けに、「産業用の協働ロボットアームのできることについて」のご相談窓口をご案内します。ぜひご活用ください。

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